コラム

通常賃貸と民泊賃貸を比較!収益シミュレーション付き【4/5】

通常賃貸と民泊賃貸を比較!収益シミュレーション付き【4/5】

2025年10月05日 13:32

これまでのコラムでは、沖縄本島での民泊需要の高まりや、契約時に注意すべき点について解説してきました。第4回となる今回は、オーナー様が最も関心を持たれる【収益面】について、メリットとデメリットを整理したうえで、シミュレーションを交えて具体的に考えていきます。


【民泊向けに貸すメリット】

■通常賃貸より高い賃料を得られる可能性

民泊運営者(借主)は宿泊料収入を前提に賃料を設定するため、通常の住居用賃貸より高い賃料を提示できるケースが多く見られます。

■長期空室の解消につながる

観光需要の高い沖縄では「借りてでも民泊をしたい」という借主が多く、空き家や築古物件でも利用価値が見込めるため、空室リスクを減らせます。

■資産価値の維持・向上

人が利用することで建物の劣化を防ぎやすくなり、修繕を怠らない借主であれば、物件の価値維持にもつながります。


【民泊向けに貸すデメリット】

■物件の使用負担が大きくなる可能性

民泊では宿泊者の入れ替わりが多いため、通常の住居よりも消耗が早く、修繕の頻度が増える場合があります。

■近隣とのトラブルリスク

宿泊者による騒音や駐車マナーなど、近隣住民からの苦情に発展するケースも考えられます。借主が責任を負う契約を結んでいても、オーナー様の印象に影響する可能性があります。

■法令遵守が前提となる

借主が住宅宿泊事業法や旅館業法に基づく許可を取得しなければならず、無許可で運営されるとオーナー様も巻き込まれるリスクがあります。


【収益シミュレーション:通常賃貸 vs 民泊用賃貸】

例として、那覇市内の1LDKマンションを想定してみます。

■通常賃貸の場合

 月額家賃:8万円前後

 年間収入:約96万円

■民泊用賃貸の場合(借主が民泊運営を行う前提)

 月額家賃:10〜12万円

 年間収入:約120万〜144万円

差額として、年間24万〜48万円の収益増加が見込める計算です。

さらに恩納村や北部の戸建てでは、通常10万円程度の賃料が、民泊利用を前提にすれば15万円以上で貸し出せるケースもあり、年間で60万円以上の収益差が生まれる可能性があります。


【適した物件タイプ】

民泊向け賃貸に適しているのは、以下のような物件です。立地としては、【那覇市の中心部】は短期滞在、【北谷町・読谷村・恩納村】はリゾート、【名護市・本部町・今帰仁村】はジャングリア沖縄開業に伴う北部需要と、それぞれ異なる魅力を発揮できます。

■一軒家や戸建て:ファミリーやグループ利用に最適

■広めのマンション一室:長期滞在者や外国人観光客に人気

■駐車場付き物件:レンタカー利用が多い沖縄では大きな強み

■キッチン・Wi-Fi完備:旅行者が重視する設備


【まとめ】

民泊用賃貸は、オーナー様にとって新しい収益のチャンスとなる一方で、注意すべき点もあります。「攻め」と「守り」を両立することが大切な不動産活用法です。

-メリット-

❶通常より高い賃料を得られる

民泊運営を目的とする借主は、収益を前提に契約するため、通常賃貸よりも高い家賃で貸し出せる可能性があります。

❷空き家や築古物件を有効活用できる

観光需要の高さから、「古い物件でも借りたい」というニーズがあり、長期空室の解消につながります。

❸資産の維持・価値向上につながる

人が利用することで建物が適切に管理され、放置による老朽化リスクを減らすことができます。

-デメリット-

❶物件の消耗が早まる可能性

宿泊者の入れ替わりが多いため、通常の住居より修繕・交換が早まるケースがあります。

❷近隣住民とのトラブルリスク

騒音や駐車マナーなど、宿泊者の行動が原因で苦情につながる可能性があります。

❸借主の法令遵守が前提条件

住宅宿泊事業法や旅館業法に基づく許可を取得していないと、オーナー様にも影響が及ぶリスクがあります。


次回は最終回として、【“賢く貸す”という選択──民泊時代の不動産オーナー戦略】をテーマに、シリーズを総まとめいたします。